期門穴「点穴術・拿穴術」と腎

期門穴 経絡のネットワークは腎から始まり腎で終わるが、十二の経絡の流れで気穴に流注していた気は、正確なリズムを持ってこの期門穴への流注で最後となり、次に腎へ向かい章門穴で気の流れを治めながら、京門穴から腎へ気が流れていく。

期門・章門・京門は体の気のネットワークにおいて、期門は経絡全体の気の昇降や、経穴からの気の出入りの正常なリズムのようなもである気機を司る。止まること無く、運動し続ける活力である気の、そのリズムを狂わせると、体全体に気の統一感が無くなる。そわそわして、落ち着きが無く、不安で、少しのことにも怯え、心臓や肝臓の疾患にもつながる。鬱状態などが極まるだけで無く、よくつまずき、足元がよろつき、情緒不安定で、自分の体が自分で無いような感覚になる。様々な症状が全身に起こる。又ここは詳しく紹介する。

この場所への点穴は、ただ打つだけでは行えない。ここは、経穴が浅く小さい場所で、特別な打ち方があるが、強烈な痛みがあり、不整脈などを招くのでとても危険な場所である。ここへの点穴は適度に行えると、相手の戦意を著しく消失させることができる場所である。話すのもままならず、もうろうとして戦意を喪失する。唖穴・暈穴となる。しかし、的確に点穴すると、一斉に気が乱れ、不整脈や徐脈などの重篤な症状を招くので、むやみにこの場所への、特に踢脚などの鑚脚は行わないようにする。どちらにしても、二重構造の胴をつけず、太極拳の踢脚などを本気で蹴り込むなど、相手を殺しても良いという故意に等しいものであり、絶対にやめるべきである。

気機の乱れ方には虚実があり、活法において、期門は虚を担当する。すなわち、リズムが速く乱れている場合、心臓で言うと頻脈、それに伴う不整脈の場合などに、緩やかにして正す。兪穴は肝兪穴であり、逆にリズムが遅く乱れている場合、心臓で言うと徐脈、それに伴う不整脈の場合などに、速くして正す。どちらも拿穴を行う。
期門は気のリズム、章門は気の流れ、京門は気の強弱と覚えておく。
そして腎は言うまでも無く、先天から受け継いだ生命力そのものの気が宿る場所である。ここはボクシングでもキドニーブローといい反則とされている重要な場所である。太極拳の擺蓮脚、下勢打虎などはここを直接狙う。ここの皮下組織は薄く、腎臓に直接、勁が届き外傷を受けやすいので危険な場所である。腎不全などの症状を起こすと、軽い場合は、悪心と嘔吐程度であるが、重度の場合は、けいれんや昏睡を招き、死亡率は50%である。又比較的軽い打撃でも、腎は内分泌系や免疫機能など全般の機能低下に繋がり、生命維持に重要な場所であり、ここの障害を持つと一生涯における生活の質を低下させる。それほど重要な場所であるから、肺と同じく二つあると言っても良い。ここを強く打つと、7年後に死ぬと言われる場所である。一挙に老化が進み、免疫力低下のため、がんなどの病に冒されやすい。にもかかわらず、巷では回し蹴りらしきものを多用した仕合や練習を見るが、通常の防具では背中側の腎は守られておらず、当たりどころが悪ければ、重篤となる。しかしながら、本気で蹴っても、巷の回し蹴りは蹴りがさほど強くない場合がほとんどで、重篤にはならないが、万が一当たり、後に腎臓に障害が出たり、免疫機能が落ちたりなど、体に支障が出ても、もう後の祭りである。太極拳には搬という腎を守る為の技術はあるが、またそれをかいくぐって打つ技術もある。太極拳を真に学べば、その腎、及び、京門、章門、期門などの経穴の周辺を、本気になって練習で分脚や踢脚、擺蓮脚で蹴り込んだり、下勢打虎などで打ち込む仕合や散手練習など恐くてできなくなるのが本当のところである。
腎には先天から受け継いだ気が宿り、肺にて自然界に存在する清気を後天的に取りいれ、脾臓において飲食物から栄養素を体内に後天的に取り入れて、生命を維持するのである。その土台である腎を崩すわけであるから、これは生命をじんわりと絶ったと言っても過言では無い。実際に腎を強烈に打ったり蹴ったりする技術があることを知れば、たとえ防具を着けていても、腎を守ることなく、安易な仕合や散手練習は恐ろしくなるはずである。愚かなことはもっとも恐ろしいと言える。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。