破邪としての太極拳

「邪気」には、外から入ってくる外因と、内側からの内因があります。
外因とは環境などから受ける風や、暑さ寒さ、湿度や乾燥、熱や圧力などなどです。風に邪をつけると風邪になりますね。
内因は煩悩、雑念などから生まれる思いや、悲しみ、恐れ、驚き、不安、喜怒哀楽などの情による影響です。
そこで、人の悪事(直接身体に危害を加えられることのない)から影響を受ける場合は実は外因の邪気ではなく、内因でもあるということも考えられます。
実はこの内因を浄化することが、太極拳の内丹でいう破邪(邪を打ち破る)なのです。人のこのような悪事にも内因の邪は発生しないという、太極拳の内丹術でもあるのです。
直接身体に危害を加えられた場合は外因です。この外因は太極拳の場合は受け入れて(走勁、借勁などなど)、内丹で邪を浄化して(化勁など)から相手に返します。(発勁)相手はこちらに危害を加えたつもりが、自分自身に返ってくるのです。
これが太極拳において全ての技や術の実際の運用となっています。これらは、攻防理論としても明確になっています。
すなわち、これらの邪気を浄化できる体(精)質や気質、精神(神)を正常なものに戻して備えるということが太極拳の根底なのです。
体質でいうと、内蔵や骨、関節、筋肉などを整え、免疫力を最大限発揮させ、自然治癒力を絶大にする、気質で言うとより積極的な生命エネルギーの増大による元気の増幅、精神でいうと生きることに対する確かな実感(本質的な生命基盤の安定)、それらを太極拳で正常な状態に復帰させることが根底にあるのです。
世界保健機構(WHO)が太極拳が医療として有効であると公表しているのも、このような、太極拳の理念が、実際の運動としての太極拳にしっかり備わっているからこそだと思います。

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