イチローVSダルビッシュ イチローの「ライオンは筋トレしない」にダルビッシュが反論する

 最近のイチローさんの言葉です。話題になりました。

「メジャーに来て最初に思ったのは、周りがでかい奴だらけだということ。

それに対抗しようと、最初は筋肉をつけた。しかし、たった3kg増えただけで、体が全く自由に使えなくなった。

人間の体は、様々なセンサーを出してくれている。過度な筋肉をつけることは、そのセンサーを殺してしまうことに繋がり、それは結果的に怪我につながる。

結局人間は、生まれ持った”関節”とか”腱”なんかは鍛えられないから、筋肉が大きくなるとそれを支える部位で故障が起きてしまう。

ライオンやトラはトレーニングなんかしないでしょ(笑)」

また、今日は、インタビューに対して、こう言っていました。

「-50歳までプレーする上でこの契約の意味は。
皆さん、50歳までという話をされることが多いが、僕は「最低50歳」といつも言っている。」

太極拳も筋トレをしません。その様な少林寺の拳術に見切りを付けたのが張三豊です。道教は、中国の古代思想を元に発展した宗教で、その根底には養生(ようせい)があります。2000年ほど前に道教の一派がおこした黄巾の乱で、それまでインドのシッダ医学から継承されていた、養生(先天的な心身を強くし、健康で長寿な全体を作るというホリズムの結果論)が、ここで武術として使用されたことが記録に残っています。
これが、張三豊を師とする内家拳法(太極拳法)として発展し、その使い手であると記録に残る伝承者には王宗・陳州同・張松渓・葉近泉・王征南・黄百家がいます。そして、明の武将、戚継光が著した「紀效新書」には、太極拳の架子と全く同じ内容の三十二勢長拳が掲載され、戚継光は「綿張」にはかなわないと、綿拳と呼ばれる内家拳法の使い手である張松渓を讃えています。
このように、この頃から、太極拳は養生(ようせい)と武術が一体となった、医武同源の拳法であり、世界最古の養生医学であるシッダ医学にもあった、アシュタンガヨガの技法が受け継がれています。

野球選手の最長現役は51才が最高ですが、イチローさんが、けが無くそれを軽く超す可能性はとても高いと言えます。だから、最低50才と言っているのです。

当会の武道クラスの練習も、そこそこの激しさですが、人間の本来の動きを使うだけですから、80才近くなっても動物としての人間の強さを失いませんので、70才を超えて初めて武道としての太極拳を習う人もいました。

これには理由があるのです。当会の門下にはいつもイチローさんが言うようなことを教えています。センサーはすなわち聴勁です。自分の体のそのささやかな感受がそうです。このような能力を思い出すにことができる理由が太極拳にはあるのです。この理由は、いまどの太極拳を見ても存在しません。武当山には古くから綿密な理論構成で詳細に伝わっていますが、武当山で教える側にいた私の師がいうには、文化大革命で武当山から完全に消滅してしまったそうで、今残っているのは中国共産党が都合良く再編して集めたに過ぎないと言っています。

若いうちに筋肉を鍛えるのもいいでしょうが、イチローさんの言うとおりです。また逆に、本来の能力を忘れてしまっていれば、ライオンでさえ獲物を捕ることはできません。

ダルビッシュさんは、今をアスリートとして頑張るのでしょう。それはそれでいいと思います。野球は色々です。しかし、人生を、健康に長生きすると言うことを求めるなら、ただ、活き活きと人間として生きる本来の人生をただ歩めばいいのです。それを忘れたときに、太極拳というメソッドがあるということだけなのです。太極拳は、そのような人たちのために「導引法」としての位置づけもあります。そして本来の能力を思い出せば、その能力を生かした、陰陽を相済する太極という最高の心身の状態を維持できるのです。自分の心身、愛する者の心身をセルフエスティームという自尊能力で、すなわち、存在と生存を最大限に担保できる存在として生き抜くだけのことなのです。

これが太極拳の目指すところです。すなわち、自分のたった一度の人生にとって、たかが太極拳、されど太極拳なのです。

人生にとっては、たかが野球、されど野球、これを知った者が、イチローさんであると勝手に思っています。ダルビッシュさんは、人生で野球をしようとしているかも知れません。人間は、野球の前に一つの人生を歩むただの人間なのです。多くの武術家や太極拳愛好家、野球選手やアスリートに見られるように、その「無理」がたたらないように祈るばかりです。

イチローの筋トレ不要論にダルビッシュ有が反論している。常識を覆すようなイチローの見解には一定の説得力があり、ま…
情報源: イチローVSダルビッシュ イチローの「ライオンは筋トレしない」にダルビッシュが反論する

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