太極拳の易筋行:筋肉が多いと死亡率が下がる

shinmei1988年から1994年の間に3,600人の男性で55歳以上、女性で65歳以上の大人を対象にした新たな研究で、2004年にフォローアップ調査で、参加者のうち何人が事故死を除いて死亡したか調べ、そしてその筋肉量と死亡との関連性を調べた結果、より筋肉がある方が顕著に死亡率が下がることがわかりました。

この研究者の一人である、カリフォルニア大学のアルン・カラマングラ教授は「筋肉をつける運動をすることが健康には得策です」と話しています。

参照:More Muscles Linked to Longer Life, Research Suggests
http://news.health.com/2014/03/18/more-muscles-linked-to-longer-life-research-suggests

しかし、これぐらいの年齢であると、アウターマッスルを増やしていくのは難しいので、主にインナーマッスルを増やすことが必要です。

筋肉は使わないと減る一方といわれていますが、古式太極拳に伝わる易筋行は、年齢を増しても無理なく行える運動で、バランス筋や呼吸筋などを中心にしてインナーマッスルを育て強化する技術です。

その易筋行などを駆使した太極拳の技法を、簡単な「簡化24式」太極拳で行えるようにと発行された書籍が「簡化二十四式太極拳で骨の髄まで練り上げる技法」です。

(書籍より抜粋)

無極を取り入れた易筋行で無酸素・有酸素運動の利を得る

筋肉は、重力や負荷などがかからない状態や加齢によってその量は減少し、逆に十分な負荷がかかると肥大する特徴があります。
筋肉は高パワーで早く収縮するが疲れやすい速筋繊維(そっきんせんい)と、低パワーでも長時間に渡り持続的に力を出せる遅筋繊維(ちきんせんい)に大別されます。ウエイトトレーニングのように強度の高い無酸素運動では、速筋繊維(そっきんせんい)が著しく肥大するため筋肉の量は増加しますが、運動不足や加齢によってその量は急激に萎縮します。一方、有酸素運動でも、ある程度筋肉への負荷が高ければ筋肉の量は増加しますが、無酸素運動ほどではありません。瞬発力に優れた白筋(速筋)を用いた運動は、筋肉を目に見えて肥大させるのに効果的で、スクワットや腕立て伏せなどに代表されます。
武道としての太極拳の動きは、重力や緩急ある動きによって、筋肉の速筋繊維(そっきんせんい)と遅筋繊維(ちきんせんい)にバランスよく負荷をかけます。また、太極拳の無極(むきょく)という武道理論を呼吸法で考えると、そこが無酸素運動になり、短い時間で急激な負荷があり、インナーマッスルの量は有酸素部分よりも増加します。逆に量が減少するのは、悪い姿勢(しせい)と筋力低下が原因です。
太極拳は正しい姿勢(しせい)を自然に整え、その細やかな筋肉を発育させます。特に姿勢(しせい)や細かいバランスを整えるインナーマッスルの筋力低下を防ぎます。適切な筋力は、血流の安定や活性酸素の消費などに必要です。筋肉量の増加は、安静時のエネルギー消費量を増加させ、脂肪の燃焼に貢献している面もあります。吐納(とのう)法を練り上げた太極拳は、吸排気で有酸素運動、無気で無酸素運動を行う最も優れたオールマイティな運動なのです。このように易筋(えっきん)で練り上げられた筋は、骨を健康に、また柔軟に動かしていくことができます。

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