護身とゾーン

地下鉄で体がぶつかったと言うことで、気づかないところから急に刺される。
こんなことは防ぎようが無い。確かにそのように言えるかも知れません。
しかし、楊式太極拳や柳生心陰流ではこの様なときの護身が最も大切な武道の入り口と教えるのです。

実際に私は何度もこれで命が助かっています。(ナイフでどさくさの中で攻撃されることは数え上げればきりが無いほどです。20歳前後の私の環境では日常茶飯事でした。とても多くのやばい人に恨まれていました(逆恨みです)ので、路上でも数回あります。その中で察知はできていたけど、逃げ場が閉ざされて実際に刺されてしまったのは2回、その2回は仕方なく足で腹を防御し、足を刺させ、相手を制しました。これも察知できていたおかげです。)

【渋谷地下鉄殺人未遂】「体ぶつかり腹立った」 サバイバルナイフで刺す 32歳容疑者逮捕 – MSN産経ニュース
2012.5.23 20:19 [殺人・殺人未遂]
東京メトロ渋谷駅構内で発生した刺傷事件で警視庁が公開した画像。事件後、右手に刃物のようなものを持ち、エスカレーターを降りて電車の方向に向かう男が映っている(警視庁が一部画像処理)

東京・渋谷の東京メトロ副都心線渋谷駅で21日、新聞配達員の男性(53)が刺され重傷を負った事件で、警視庁捜査1課は23日、殺人未遂の疑いで埼玉県朝霞市溝沼、職業不詳、渡辺知宏容疑者(32)を逮捕。警視庁によると、渡辺容疑者は「体がぶつかったので腹が立った。サバイバルナイフで刺したことは間違いない」などと供述している。

逮捕容疑は21日午後6時10分ごろ、渋谷駅地下4階から地下5階に下りるエスカレーター上で、男性の右首や右脇腹を刃物のようなもので刺し、殺害しようとしたとしている。男性は全治不詳の重傷を負ったが、命に別条はなかった。

捜査1課によると、渡辺容疑者は事件の直前、肩がぶつかったなどの理由で男性と口論となっていたとみられ、エスカレーターに乗った男性を追いかけて刃物を持ち出したという。その後、逃走していた。男性は「犯人とは面識がなかった」と説明している。

・「おとなしい」「神経質そう」…近隣住民とトラブルも 渡辺容疑者の人物像

引用元: 【渋谷地下鉄殺人未遂】「体ぶつかり腹立った」 サバイバルナイフで刺す 32歳容疑者逮捕 – MSN産経ニュース.

楊式の太極拳は全てが護身術と言えます。
なぜなら、相手が動いてから、もしくは相手が敵対の気を発してから動く、後の先という動きだからです。
簡単に言うと、相手の攻撃を受けてからその力や動きに従いながら、いつの間にか守りと攻撃を一体化した動きに変化していくからです。これが太極ということですから、太極拳なのです。

そこで、その守りを普段歩いているときの意識の状態に向けてみます。太極拳ではゾーンは套路や站椿で基本を習得し、応用は対錬で行います。

まずゾーンとは、集中力が最大限に高まった状態のことをいいます。
通常、集中力を高める場合、ほとんどの場合、他のことを遮断して、一つのことに集中しなさいとよく言われます。

静かな場所で、心頭滅却して座禅を行う。このような場合がほとんどでしょう。

太極拳のゾーン作りは、渋谷の交差点の真ん中で、立禅を行いながら、周りの全てと一体になって、歩きながらその時空全ての気と一体化していきながら集中力を高めていく方法です。

前者は世界を狭くしていき、その世界と外部を遮断していく方法です。

後者、すなわち太極拳では世界を広くしていき、自分と外部の遮断が無くなり、その境が無くなることです。

その太極拳で培ったゾーンは、今回の事件のようなときには、違和感を察知する能力として働きます。自分以外の者も全て含んだ集中の中に自分と敵対するまたは、分離した感覚を見つけ出します。

受験勉強のような集中の中に、誤りやおかしなところ見つけるのと同じです。

それが、自分以外も含むバウンダリーを高めたゾーンの中で見つかるのです。

この護身のゾーンは、太極拳では、あらゆる練習の中で絶えず修練していきます。逆に、前者の集中は太極拳のゾーンの中に含むのであるから、前者のゾーン自体が太極拳にはありません。

太極拳のバウンダリー能力はこのゾーンの中で修練します。そしていつの間にか自然と身につきます。いや思い出されます。そのように楊式(武当派)では全てを造り上げています。

護身はゾーンの作り方からの理解から始まっているのです。

 

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