武術と套路

套路の武術性。

套路においての真の武術性は、武術の根本にある 人間本来の融和という能力にあります。であるから、套路は美しくて荘厳で力強いのです。

人間に潜在する能力は、枠や条件にはめず、おおらかに開放してこそ、発揮されます。それが太極拳の神髄でもあるのです。そこには、人間本来の素晴らしい活力と、全てのものと仲良く調和できる陰陽合一性がある から、人はこの武術を太極拳と名付けたのです。

楊式の古式は武術の動きをそのまま残そうとしている。

套路を行うときは、武術の大切なところと、発勁を発するときの細かな動きを失わないために、ゆっくりと動く時には膝をつま先より前に出します。一般的に日本で普及している健康太極拳とこの一部分をとったとしても違います。膝が出るのは、発勁の時の纏糸勁の軸の回転の慣性を利用した、運動力学の新たな考えでもあります。いま、このような紡錘円の動きは見直されていますが、その動きは武術の本流理論 にも合致しています。又、古い考えだけに囚われずに、新たな実験も必要であると思います。しかしながら、伝統的な、古式太極拳を形を壊さず演じている劉高明先生の套路と、同じように套路を演じることで、その心の導きにより、陰陽和合に生まれ、套路の動きはさらに良くなることもあります。
しかしながら、偏見や、局部的な武術性にとらわれていては、太極拳の全体的な姿を見ることもできません。もっとおおらかに長江大河のごとく、それが太極拳の達人たちの心であるのです。

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