太極拳の散手練習

太極拳の練習方法でも、実際に実戦を想定して攻防を行う散手という練習方法があります。
ところが太極拳は自然に出る勢を使う武道のため、一般に行われているようなルールや、一線を超えてはならないという、意識下で使えるものでもありません。
実際に生命を脅かされるような場面に出くわすと、こうすればあのような技を出すなどに考えて、うまくいくことがないことは、実戦経験があるものにとっては当たり前のことです。

私たちの太極拳の練習は、いかに太極拳の長い歴史の中で、先人達が精選して抽出した、人間の根本にある強烈で純粋な勢を、当たり前に使えるかということを練習するものです。… 続きを読む

太極拳は意識で動くと他で教わりました。意識で動くと無為ではないですよね。

太極拳は意識で動く?そんなことをしていたら太極拳ではなくなります。
太極拳は無意識で動きます。

無意識とは何でしょうか?

無意識とは意識がないと言うことでしょうか?

実は違うのです。

意識には顕在と、潜在があります。そのどちらも意識なのです。

潜在にある意識が、自分では顕在しないで働くことが最も多く、癖や執着などに現れます。煩悩や見えない雑念なども全てそこにあります。

太極拳で言う、無意識とは完全なる純粋な意識です。無為自然と言います。… 続きを読む

太極拳練習に準備運動はいらない。

どのような運動でも武道でも、準備運動というものを行います。

太極拳も練習の前には準備運動をおこないますが、実際に武道として太極拳を使うということを考えると、本来準備運動はいらないのです。

まず、太極拳の練習の前には、経絡を刺激する運動として、指龍という、五指を動かして体の気の通り道、経絡とその通過点の経穴の緊張をやわらげる準備運動を行います。

しかし、指を動かすだけなので、これが準備運動かというほどのものです。指龍は、厳密に言うと朝起てから、畑仕事やちょっとした家事、朝ご飯の用意をするときに、柔らかなリラックスした動きをして経絡がなめらかに刺激されていればいれば、もう練習を行う前には必要のない準備運動です。朝起きたときから自然と準備はできているということになります。… 続きを読む

套路の過渡式が太極拳の神髄

現在行われている太極拳の套路で、型の姿勢、ひどい場合には手の形や足の裏の形などを正しく行うように要求があるとされていますが、実はその套路の型自体は、他の武道と同じく、構えもしくは、残心という、技の始まり部分と終了部分だけなのです。

もちろん構えと残心は大切ですが、その途中にある過渡式が実は技なのです。套路で行う技は基本勢による技が主体ですが、構えて技を練って技を終えて残心、そして連続技で套路が構成されている運用なのです。… 続きを読む

勁の段階

太極拳では、以下の段階で滞らず、陰陽和合で勁の段階を終えることを要求する。

●創勁(そうけい)

その勁を作り出そうとする意識にあふれると気、その勁はとても直である。勁の動作の昇降が無い、すなわち起落しがたいため、動きが止まる。

巧勁(こうけい)

巧みな勁に走ると、それが芸になる。ただ、そのコツのみを会得しようとすることで、根本を失う。すなわち、その技やコツに固執してしまうことで、剛くなってしまうと、動きが止まってしまう。続きを読む

太極拳の套路はゆっくり行う。

太極拳の套路はゆっくり行う。(想念太極拳・瞑想太極拳)

太極拳は陰陽が離れず、ずっと気によって連綿とつながっている。

ゆっくりやればやるほど、気を連綿と維持するのが難しい。

実戦においてその気の途切れが、隙となる。また技が崩れるところである。

相手のスピードがゆっくりに変化したとき、そのゆっくりと動くところでの気の維持ができなければ、相手に勢を委ねてしまう。要は相手の勢によってこちらが制御されるのである。… 続きを読む