斜分脚に対する転身による技撃術

2016/6/19武道クラス
20160619_1①分脚の各種示意で行った整体の成果を確認。その分脚を使用して、相手の腹部前急所への斜分脚(斜踢脚)を練習。
腹部前側の経穴は入り口が小さいため、靴を履いている場合は靴先で蹴り込む。靴の中は前足底を出した蹴り方(踢脚)になる。通常は我の左脇腹に対する、相手の右斜踢脚に対して、左顧勢において套路と反対回りの外雲手で蹴りを受ける。相手の右回し蹴り(斜踢脚)を、外雲手の十字勁で挟み受け、同時に相手の金的などに分脚を蹴り込む。相手の蹴りの勢が我の身体の内側に斜めに走るので、それに随勢で随った左顧勢により、歩法は歇歩で、我の急所の有る身体を満から空にする。相手の我が身の満たされた場所に爆発する蹴りの発勁は、相手の勢を走らせたことによりここで消滅する。我が身を空にしてそこで爆発させる技術は、分虚実の勢であり、陰陽転換の術である。これは、主に進歩搬攔捶の前過渡式の歇歩で稽古する。
A/我の走勢で消滅した、相手の蹴りはその場所で浮くのでそれに同時に沾勢で貼り付きながら、外雲手の勢で我の右臂を下から、我の右臂を上から粘勢で粘らせ、相手の右足を我の両臂で十時に挟み込むような連勢により沖和して、左眄勢の発勁により相手の蹴りの勢を我の後方へ化勢で転化すると相手の足は伸びたまま、背勢となる。この時の発勁は雲手の十字勁である。
②その十字勁の環流勁は右臂の上勢による相手の頸動脈洞への臂刀拳の発勁や、金的への分脚の発勁などになる。以上まで今回示範だけにした。
③今回は、その勢いを転身勢(転身擺蓮)に使用する。以上①と同じだが、相手の右斜踢脚に随勢で随った左顧勢を伸ばしていく長勢の最初を化勢に使用し、そのまま途切れずに転身する。転身の際に、我の右臂は雲手によって上から抑えた粘勢により粘っているのを、そのまま相手の足を腰に抱き込むように使用し、右足を左回りに転身して、左足を相手の方に転身しながら進め背勢の相手の円圏に入り、相手の顎の急所への架肘(※武当派の古い套路の第四式にある翻身架肘と同じ)、または心窩への盤肘、または行きすぎて相手の頸を後ろから臂鎌刀挒で引っかけて、前へ投げたり、左手を俯掌や仰掌に変化して頸を掴んだり、虎口掌を頸の前の急所に打ち込んだり、鼻の頭の急所などに打ち込んだり、間合いが近ければ体全体で体当たりする靠勁が有効である。これらは左眄の慣性を利用した遠心力から転身する長勁であり、連続した回転に重心が全て乗る巧勁となる。
④高度な技術としては、相手の蹴りの勢いを借りて遠心力に加える借勁もある。(套路の時に転身擺蓮の前過渡式にある勢い)

■詳細及び記録動画

※本日の練習の相対招式の技術を詳細に記載しています。要訣など、随時加筆していきます。

■記録動画

武道クラスのみ、下記より動画が閲覧できます。
最近の武道クラスの動画を掲載しています。(掲載期間約1〜2ヶ月)

動画の配信方法が変わりました。YouTubeで非公開で配信しています。

動画の閲覧の方法は下記のとおりです。

①閲覧するには、事前にYouTubeのアカウントを作成し(無料)、ログイン用のメールアドレスを下記メールアドレスまで知らせて下さい。(武道クラス生のみ)

master@ohtaichi.com

②閲覧が可能になればメールで知らせますので、閲覧して下さい。

その後は、登録済みアカウントからログイン後、下記のリンクから閲覧が可能です。(この動画は再生できませんとなる場合は、申請済みのgoogleのアカウントでログインしていることを確認後、それでも再生できない場合は、上記メールアドレスまで連絡を下さい)

https://www.youtube.com/user/ohtaichi

楊式太極拳における擒拿術と解法の原理

2016/6/12武道クラス
20160612_2①懐中抱臂に対する解法、相手は我の右腕を両手で掴んで懐中抱臂を仕掛けてくる。それに対して、青龍飛彎にて解法。
相手の扌履勢による懐中抱臂の引勢に粘勢を保ちながら随勢で随い、引勢を走勢で走らせながら、その引勢を我の我の手を龍の頭と見立て龍が彎曲して左方に飛んでいくようにして、その胴である肘がその慣性につられ相手の顎の方に飛び出しながら、我の上腕である龍の尾がそれにつられて飛んでいく様で、相手の円圏の中に入っていく。これは化勁であり借勁である。相手の引勢を借りて龍を左方に勢いよく彎曲して飛ばすのである。その過程で我の肘が相手の顎の急所に当たるのも良い上、我の手である龍の頭は、相手が掴んだ両手に粘勢で絡み、沖和して連勢となり、包球勢(抱掌)の発勁にてするりと解いていく解法となる。抜いた右腕でそのまま上勢の発勁を相手の右頸動脈洞などに手刀で打ち込む。

②扌履勢摔に対する解法、相手は相手は我の右腕を両手で掴んで扌履勢摔を仕掛けてくる。それに対して、青龍滑翔(かっしょう)にて解法。
相手の扌履勢摔の扌履勢に沾勢を保ちながら随勢で随い、扌履勢を走勢で走らせた勢いを我の右眄勢(五行勢)に借勁し、相手の扌履勢を化勢によって青龍滑翔に変化させる。右眄勢によって生まれた勢は我の右手を龍に見立て、右眄勢に押されながら右後方に飛んでいく事で、我は扌履勢となる。扌履勢は粘勢により相手の両手と沖和し連勢となり、扌履勢の発勁により解法となる。その際に、我の右手には採勢が発せられれば、より強い解法となり、その抜いた手は転動勢により相手の右頸動脈洞に臂鎌拳挒などを発する。本来は解法をせずに、そのまま双龍旋風などの摔角を行い栽法で固める。(本日の練習では行っていないが、双龍旋風の解説:扌履勢の際の我の右手を相手の右手の上に粘勢で粘らせ、我の左手で舌から相手の右手の甲を龍口で噛み、そのまま雲手の旋風勁の発勁と左への側行歩により、相手を頭より地面にたたきつける。相手は、その勢に従い、自分おへそを見るようにして体を丸めて、背中から落ちるように勢を走勢で走らせることで、丸めた体が慣性を生み、その勢いで両足裏が先に地面に着くことで解法となる。我は、その解法の勢いをより走らせ、相手の体を背面にして裏返して固める。※詳細は双龍旋風の練習を参照)

③懐中抱臂は相手の右手を扌履勢によって引き寄せるが、相手が右肘を曲げて防御した場合、懐中抱肘に変化する。
懐中抱臂は相手の右腕を、我の右手で掴んで扌履勢を開始し、すぐに我に左腕で相手の右腕(我の右握りのすぐ下)を掴んで我の左脇で挟み込み*A、相手の右臂を我の右肩上にまで上げて、倒攆猴の天秤勁(十字勁の一種)にて、相手の臂を撅して、膝を崩す技法。この場合は相手の臂は伸びている。しかし、相手が肘を曲げて抵抗した場合、その肘を曲げて相手の体の方に向かう勢に随勢で従って、相手の勢を走勢で走らせながら、沾勢で我の左手を相手の右脇下に滑り込ませ*B、相手の右肘を我の左脇の前側にある窪みに填める。(丁度はまるようになっている)手揮琵琶の縮勁により両手で相手の腕を抱き込むのが*C、懐中抱肘。

④以上の①懐中抱臂の解法は、相手の勢が扌履勢に対して随勢であったが、その随勢が起こせず、すでに扌履勢で引き込まれてしまった場合(上記の③の*Aの部分)その扌履勢の引勢に随勢で随い、沾勢で貼り付きながら我の右腕を走勢で走らせ、連勢で沖和したところで、我の左手で相手の左上腕を単捶で押す。すると、相手の右手にあった実勢はその反射により、左上腕に反射し、右手が虚勢となる。その時に同時に右腕に粘勢を働かせ、退歩跨虎の勢で我の左手は前へ、右手は後ろへ、右足は後ろへ発勁すると、我の右手は魔法のように抜ける。分虚実の発勁である。ここでは行っていないが、抜いた右手で相手の側頭部急所に冲拳や右脇腹急所への進歩踢脚などを放つ。

⑤以上の③の懐中抱肘の解法は、③の*Bの時点で、相手の沾勢による前方への勢いに随勢で随って走勢で走らせながら、これも相手の左手先に至る実勢を、相手の左肩後ろを押すことで反射による虚勢にして、簡単に相手はいきすぎてその腕は解法され、ここでは行っていないが、抜けた手により相手の右後頭部または頸動脈洞などに手刀や拳で発勁する。
また、その解法が間に合わず既に、相手が③の*Cの時点で縮勁を始めていたら、今度はその縮勁に随い、相手の上腕を腹側から後方に押し、倒攆猴の流転勁にて右足を後ろに引きながら体を回すと相手の右肩が後方に流れ、簡単に手が抜けるので、そのまま、ここでおこなったような、抜けた手により相手の頸動脈洞に拗歩勢(摟膝拗歩)による手刀で発勁する。

⑥手首に対する擒拿術の高等技術
懐中抱肘において相手の手首(腕)を壊しても良いのなら、強烈な縮勁の発勁を行えば、痛みに強くてもその腕は簡単に壊れる。しかし、練習においてはそのような発勁を行う事はできないのであり、その場合、相手の手首の虚実を聴勁で測り、その虚の方向に縮勁を発する技術が必要である。この場合の勢いは粘勢であり、総合的には紬糸勁となる。楊式太極拳の独特の紬糸勁は、糸を紡ぐような回転の内に相手の虚を描き出し、その虚を紬ぐ高度な技法である。これが行えれば、痛みを与えるだけでなく、効率的な発勁が行える。即ち虚を効果的にせめていくため、相当痛みに強い、筋力があるものもこの紬糸勁により実を失う。
手首の虚を描き出し練習として、海底針による双龍深海を行った。双龍深海は相手の手首を下から両手で掴み、相手の腕を縦にして虚を描き出してから、沈勁にて下方に沈めていく擒拿術である。強烈な痛さがあることを経験する。これが手首の虚に対する発勁である。この感覚を会得して、紬糸勁や纏糸勁の螺旋中にこの感覚を聴勁して発することが大事である。扌履勢による、双龍滑翔(かっしょう)も一部行ってみた。双龍滑翔は相手の手首を上から両手で掴み、相手の腕を横にして虚を描き出してから、扌履勢にて左(右)方に行かせる擒拿術である。
また、この手首の虚勢を利用すれば、解法も容易であることを、青龍入洞による解法を行ってみた。青龍入洞は我の右肩を強い握力で相手の右手で捕まれたとき、雲手の勢により我の右臂が右上空に円を描いて伸び上がり、そのまま我の内に相手の左腕を超えて肘から降りていく(肘が龍尾であり、龍尾から元いた場所に沈んでいく姿を入洞と表現した)ことで相手の掴んだ手を簡単に取り外す技法である。倒攆猴の左眄勢(五行勢)で解法を行う。ここでは行っていないが、解法を急速に行うと、相手は前方に背勢となり、右脇腹急所や腎臓が我の右手の前にあるので、即座に分勁などで冲拳などを発勁する。
相手が、掴んでいた手を粘らせて、身体を背勢にして頑張った場合、倒攆猴の右眄勢を即座に左顧勢に変化させ、同じく倒攆猴にて採腕托臂(撅)にて擒拿術を行う。

 

■詳細及び記録動画

※本日の練習の相対招式の技術を詳細に記載しています。要訣など、随時加筆していきます。

■記録動画

武道クラスのみ、下記より動画が閲覧できます。
最近の武道クラスの動画を掲載しています。(掲載期間約1〜2ヶ月)

動画の配信方法が変わりました。YouTubeで非公開で配信しています。

動画の閲覧の方法は下記のとおりです。

①閲覧するには、事前にYouTubeのアカウントを作成し(無料)、ログイン用のメールアドレスを下記メールアドレスまで知らせて下さい。(武道クラス生のみ)

master@ohtaichi.com

②閲覧が可能になればメールで知らせますので、閲覧して下さい。

その後は、登録済みアカウントからログイン後、下記のリンクから閲覧が可能です。(この動画は再生できませんとなる場合は、申請済みのgoogleのアカウントでログインしていることを確認後、それでも再生できない場合は、上記メールアドレスまで連絡を下さい)

https://www.youtube.com/user/ohtaichi

日月穴「点穴術・拿穴術」

日月穴 日月穴は交感神経系の人体の働きに関係する気の制御を行う。日月穴は肺までの組織が最も薄い場所であり、ここを的確に打つと肺に勁が突き刺さる場所である。肺に直接勁が及ぶと、交感神経系の末梢である胸随にある神経が鈍麻し、心拍数が遅くなり血管が拡張し血圧が下がる、気管支筋が緊張し同時に息が吸えなくなる。精神は飽和状態になり、目と意識がもうろうとする。兪穴である胆兪穴を点穴で打つと、交感神経系の末梢である胸随にある神経が興奮し、心拍数が早くなり血管が収縮し血圧が上がる、気管支筋が弛緩し同時に息が吐けなくなる。精神は緊張状態になり、意識が散乱し目が見開かれる。どちらも息が詰まったような状態になる。日月穴への点穴や鑚脚は肺に損傷を与えることもあるので、仕合や練習では必ず二重構造の胴を着用して行わないといけない。この場所は無意識でもたまたま良く当たる場所であり、経穴も広く入りやすい。注意が必要である。
当て身として行う場合は、直接経穴を打つのでは無く、その経穴に刺激を与える程度で行う。そうすることで、息を詰まらせたような効果的な虚を作り出せるから、そこで即座に擒拿術や摔角などを行い相手を制御する。これも死穴、暈穴、唖穴でありむやみに蹴ったり打ったりしては行けない場所である。最も恐いのはたまたま当たり角度もでき上がる場合がある。肺気胸などの急激な症状も出る場合があるからどちらにしても、危険な場所であることを知っておく必要がある。知っていれば、事故が起こらないように注意しながら練習ができるというものである。
日月穴及び胆兪穴は、このように人体の交換神経系に作用して虚実を司る。正常であれば、日と月のように明るい気、すなわち活動的な気を、夜と昼すなわち陰陽の中で融合させているため、活動的な気は表象には現れない。しかし、日月穴に気が滞っている場合は、陰が際立ち、元気がなくなる。兪穴の胆兪穴に気が滞っている場合は、陽が際立ち、闘争心が際立ち浮き足立つ。活法はその反対の作用にて正常な状態を作り出すことができる。正常であれば、虚実は表象には現れない。これは、楊式太極拳の暗勁という重要な技法に必要な気の状態である。活法の場合は、拿穴にて行う。日月穴を活法として拿穴すると、興奮していたり、よく眠れなかったり、いつもイライラして、心拍数が多く、高血圧気味で便秘、いわゆる交感神経系が過剰な疾患の改善に役立つ。胆兪穴は逆に元気が無かったり、やる気が無い、溜息が良く出るなどの鬱状態を改善する。活法では三焦経の募穴の石門穴や兪穴の三焦兪穴などと合わせて、交感神経の興奮と緩和を用いながら、その相補関係により副交感神経系の調整を行う事もできる。例えば花粉症などのアレルギーには胆兪穴、三焦兪穴などを拿穴し、眠れなかったり、落ち着かない場合は、日月穴や石門穴を拿穴する。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。

中脘穴「点穴術・拿穴術」

中脘穴 中脘穴も体の腹側の正中線、任脈にあり、場所は臍の上4寸程度である。任脈にあるので、ここも死穴である。任脈には多くの急所が集まるが、そこには、脳神経の中で唯一腹部にまで到達する迷走神経がある。特に体にとって重要な役割を担うため、体を丸めて守ることができるようになっている。中脘穴はその迷走神経の腹の部分にある要である。心拍数を調整したり、血管の拡張、胃腸の蠕動などを司る、内臓の運動と副交感性の知覚の為の重要な神経である。胸とは違い腹は腹筋があっても、直接内部に拳脚が到達するため、強打すると内臓を損傷したり、それを守る為急激に迷走神経が暴走する。血圧の急激な低下は気を失い、死を招くことがある。
 当て身としての適度な点穴は、衝脈を通じて丹田に集まっていく気をここでせき止め、逆流上昇させる。気が上昇し、下半身の動きを止める。気が上昇するので、のぼせたような感じになり、驚きやすくなり、視界が狭くなるので、虚が生まれる。心臓がドキドキし、急激な不安が訪れ平常心を無くす。
 中脘穴は宗気を司り、衝脈を通じて腹の下部へ気が降りないため、胃や腸での消化不良が起こる。腸では便秘となる。活法として拿穴すると、そのような胃腸の改善と共に、気が上昇しすぎたヒステリーや精神錯乱、パニック、興奮、ストレス障害などを改善する。眠れないで食欲不振の時はここが効果的な経穴である。基本は拿穴である。しゃっくりもここを拿穴すると良く止まる。
 兪穴は胃兪穴であり、活法としての拿穴は、下部へ気が降りすぎて、胃では胃酸過多、腸では下痢、上半身の気が下りすぎてやる気が失せたり、鬱状態になっているときにはここを拿穴して改善する。夏ばてなどにはここを拿穴する。ここを点穴術で拿穴すると、腕が上がらなくなるほどのダメージがある。又逆に、中脘穴への拿穴は脚が動かなくなる。このような相関関係により点穴術を理解するのは、武当派の太極拳の特徴である。
 このような募穴と拿穴関係を理解しておくことで、套路を行うときに、自分の気の状態を量ることができる。同時に、太極拳の動作でそれを調整できる。気の状態が正常になると、内丹も正常になり、心身の健康は著しく維持される。楊式太極拳では行気と、点穴術の技法は不二であり、気が巡る套路は、そのまま点穴術の熟練に役立つ。
 即ち、套路を行気満ちて、気順が行え、三節三尖で勁を発することができて、点穴術も最低限行えるのである。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。

天枢穴「点穴術・拿穴術」

天枢穴 天枢穴は先天の精と後天の精をつなぐ架け橋の要である。先天の精は人間が生まれながらにして持つ、生命体としての生理機能であり、後天の精は生まれてから身につけた心身の性質である。先天の精の要である自律神経は、後天的な人間の性質によって大きく左右される。この天枢穴を点穴すると、自律神経の要所であり、第二の脳と言われる太陽神経叢に対し陰の刺激を与えることになる。副交感神経系の暴走が起こり、血圧の急激な低下とともに、胃や肝臓・すい臓、腎臓などの重要な臓器が機能低下する。持ちろん大腸も機能低下するが、それよりも自律神経のバランスが一挙に狂う。
活法として拿穴すると、興奮していたり、よく眠れなかったり、いつもイライラして、心拍数が多く、高血圧気味で便秘、いわゆる交感神経系が過剰な疾患の改善に役立つ。様々な有益なリラックスホルモンを生み出す。お腹をさすると落ち着くのはこのためである。拿穴は背中にある大腸兪穴であり、逆にやる気が出ない元気が無い、うつ気味、げり気味などの場合に掌打又は拿穴にて改善する。
この経穴への点穴の狙いは戦意を喪失させることにあるが、軽く点穴した場合でも、意識がもうろうとし吐いたりするなどの急性的な症状が出る。上丹田である泥丸の中には視床下部があり、ここと連携して自律神経を管理しているため、天枢穴を打つと、生命の危機に似た不安感が急激に襲う。即ち、これで戦意を喪失する。自律神経は生命を維持する重要な臓器の働きを左右するからだ。大腸兪穴は逆にアドレナリンなどのホルモンが出るような緊張度を生み出す場所であり、凶暴性を増し、緊張度を高めるため逆に生命の危機に値するような恐怖感が現れる。太極拳ではこの場所を点穴することで、相手の動きを緊張させ、心拍数を増幅させ、焦らせたり、近視眼的に短絡的にして、相手の虚を作り出し、相手を制御する技法もある。背面の攻撃においては、他の兪穴も同じようにして使用する。
活法では天枢穴を拿穴して精神的に自信を生み出す技術がある、この場合は、自分にでも行う事ができる。又逆に、大腸兪穴に対して拿穴を行うと、精神的に自我が高まるようなやる気が出てくる。この双方の募穴と兪穴のバランスが整っていると、精神は健全である。太極拳の坐法で導引を行う。
最後に、太陽神経叢の中心に向かって正確に強烈な点穴を行うと、神経原性ショックにより迷走神経が反射して、急激な血圧低下により死亡する場合がある。危険な場所である。この点穴術も打ち方があるが、その危険性を知らずに、たまたま角度と深さが一致すると危険であるから、腹部には必ず二重構造の防具を纏って踢脚などの攻防を行うべきである。この場所を打つ又は蹴ることは、当て身として有効であるが、場所をずれると大動脈、すい臓や肝臓などの重要な臓器があり、損傷させると取り返しの付かない事態となる。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。

期門穴「点穴術・拿穴術」と腎

期門穴 経絡のネットワークは腎から始まり腎で終わるが、十二の経絡の流れで気穴に流注していた気は、正確なリズムを持ってこの期門穴への流注で最後となり、次に腎へ向かい章門穴で気の流れを治めながら、京門穴から腎へ気が流れていく。

期門・章門・京門は体の気のネットワークにおいて、期門は経絡全体の気の昇降や、経穴からの気の出入りの正常なリズムのようなもである気機を司る。止まること無く、運動し続ける活力である気の、そのリズムを狂わせると、体全体に気の統一感が無くなる。そわそわして、落ち着きが無く、不安で、少しのことにも怯え、心臓や肝臓の疾患にもつながる。鬱状態などが極まるだけで無く、よくつまずき、足元がよろつき、情緒不安定で、自分の体が自分で無いような感覚になる。様々な症状が全身に起こる。又ここは詳しく紹介する。

この場所への点穴は、ただ打つだけでは行えない。ここは、経穴が浅く小さい場所で、特別な打ち方があるが、強烈な痛みがあり、不整脈などを招くのでとても危険な場所である。ここへの点穴は適度に行えると、相手の戦意を著しく消失させることができる場所である。話すのもままならず、もうろうとして戦意を喪失する。唖穴・暈穴となる。しかし、的確に点穴すると、一斉に気が乱れ、不整脈や徐脈などの重篤な症状を招くので、むやみにこの場所への、特に踢脚などの鑚脚は行わないようにする。どちらにしても、二重構造の胴をつけず、太極拳の踢脚などを本気で蹴り込むなど、相手を殺しても良いという故意に等しいものであり、絶対にやめるべきである。

気機の乱れ方には虚実があり、活法において、期門は虚を担当する。すなわち、リズムが速く乱れている場合、心臓で言うと頻脈、それに伴う不整脈の場合などに、緩やかにして正す。兪穴は肝兪穴であり、逆にリズムが遅く乱れている場合、心臓で言うと徐脈、それに伴う不整脈の場合などに、速くして正す。どちらも拿穴を行う。
期門は気のリズム、章門は気の流れ、京門は気の強弱と覚えておく。
そして腎は言うまでも無く、先天から受け継いだ生命力そのものの気が宿る場所である。ここはボクシングでもキドニーブローといい反則とされている重要な場所である。太極拳の擺蓮脚、下勢打虎などはここを直接狙う。ここの皮下組織は薄く、腎臓に直接、勁が届き外傷を受けやすいので危険な場所である。腎不全などの症状を起こすと、軽い場合は、悪心と嘔吐程度であるが、重度の場合は、けいれんや昏睡を招き、死亡率は50%である。又比較的軽い打撃でも、腎は内分泌系や免疫機能など全般の機能低下に繋がり、生命維持に重要な場所であり、ここの障害を持つと一生涯における生活の質を低下させる。それほど重要な場所であるから、肺と同じく二つあると言っても良い。ここを強く打つと、7年後に死ぬと言われる場所である。一挙に老化が進み、免疫力低下のため、がんなどの病に冒されやすい。にもかかわらず、巷では回し蹴りらしきものを多用した仕合や練習を見るが、通常の防具では背中側の腎は守られておらず、当たりどころが悪ければ、重篤となる。しかしながら、本気で蹴っても、巷の回し蹴りは蹴りがさほど強くない場合がほとんどで、重篤にはならないが、万が一当たり、後に腎臓に障害が出たり、免疫機能が落ちたりなど、体に支障が出ても、もう後の祭りである。太極拳には搬という腎を守る為の技術はあるが、またそれをかいくぐって打つ技術もある。太極拳を真に学べば、その腎、及び、京門、章門、期門などの経穴の周辺を、本気になって練習で分脚や踢脚、擺蓮脚で蹴り込んだり、下勢打虎などで打ち込む仕合や散手練習など恐くてできなくなるのが本当のところである。
腎には先天から受け継いだ気が宿り、肺にて自然界に存在する清気を後天的に取りいれ、脾臓において飲食物から栄養素を体内に後天的に取り入れて、生命を維持するのである。その土台である腎を崩すわけであるから、これは生命をじんわりと絶ったと言っても過言では無い。実際に腎を強烈に打ったり蹴ったりする技術があることを知れば、たとえ防具を着けていても、腎を守ることなく、安易な仕合や散手練習は恐ろしくなるはずである。愚かなことはもっとも恐ろしいと言える。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。