毎日実戦で使っていた太極拳・私の病気を治した太極拳・医武同源

18才ごろから働いていた、大阪ミナミ(現中央区)の宗右衛門町ダイヤモンドビル6階のサパークラブ「クレージーホース」。
500席以上あり、フィリピン人の生バンドが演奏し、ホールでダンスを踊るスタイルの店で、客は裏の人と芸能人が4分の3で、私は、20才の頃にはその店の幹部になり、毎日数回起こるプロどおしのケンカを止める立場にいました。
ここが本店でしたが、梅田には梅田店(席数800ほど)があり、そこはキル・ビルという映画のモデルとなりました。その他にも北新地や京都にもカルチェラタンという店舗があり、ディスクブームで賑わっており、どの店も土曜日は2時間でcheckout、いわゆる出て行ってもらう形式を取っていました。… 続きを読む

武当山伝統の太極拳の武道稽古・初めて一部を公開します。

中国の武当山。古代からの太極拳(太極功)の稽古の風景は、私が王師から稽古を受けていたのと同じだそうで、今もその伝統のまま稽古しています。
毎日の套路は、勢の涵養で最も重要です。

勢が無限に広がり収縮する大架式で行います。

そして、その勢を以て人間どおしが重なり合う条件によって、そこに勁が発生します。
これが発勁です。

相手の条件がこちらに向かってきたり、去って行ったりする動きに、自然とこちらの勢いが随います。これが随です。套路にて自分の身体が破綻に向かっていくときに起こる勢です。いわゆるバランスが崩れていくときの勢いです。… 続きを読む

85式套路・斜単鞭・斜の理由は、仙人歩へ繋がる発勁


 木曜日の夜間クラス。予定は67進歩搬攔捶から68上歩攬雀尾の予定でしたが、どこからか、48斜単鞭の話題になり、48斜単鞭から49野馬分鬃となりました。
 なぜ「斜」なのかという事です。
 単鞭の勢は単捶勢であり、鞭のような勢から単捶勢を持つことから鞭勢とも呼ばれます。
 ぬれタオルでバチンとやる、あれです。過去に「やってみてくれ」という私の古い弟子の要望に応え、実際にやってみると、筋肉隆々の弟子のの身体に、10cm大の円形の水腫れが出来、その上、痛さのあまりうずくまったほどです。顔面などに打つと危険です。… 続きを読む

85式太極拳・進歩搬攔捶の輪拳という発勁

本日の夜間クラスは、白蛇吐信から進歩搬攔捶。進歩搬攔捶の搬から攔捶への過渡式にある、右拳の動きは「輪勢」という円軌道によって動く。この輪勢で打ち込む捶は下方から後方、上方から下方への円回転から発せられるので、全重心が上方から下方へと乗っていく発勁となる。その上次の左盼によって偶力(十字勢)も加わり、相手の極点に全重力を持って差し込むという効率的な鑚拳となる、太極拳独特の理を持った発勁となる。輪勢を持っているので輪拳とも呼ばれ、相手の突きをこの輪拳の最初の下方から後方の円回転で全重力を相手の突きに乗せて後方に運ぶので「搬」となり、相手は引き込まれるように崩れながら、鑚拳を打ち込まれる。招式として行うこの技は、「開山鑿洞(かいざんさくどう)」で武当山では日常的に招式として寸当てで行っていたそうです。… 続きを読む

85式太極拳・白蛇吐信は放鬆の極限で発勁


今日の夜間クラスは白蛇吐信。終盤に出てくる通常は撇身捶のところで白蛇吐信の尖掌を打つ。撇身捶は「裏勢」にて巡るべき巡る短打を繰り出す型で、最後に裏勢を飛び出して戻ってきた撩拳にて過渡式となる。
白蛇吐信は、放鬆によって経絡が閉じる(合経)により、その最も中心にある人間の矢状面を走る中心線「中(ちゅん)」に収斂した右手がまるで蛇の下のように繰り出される。
収斂したときには、蛇が舌をぐっと喉の奥にため込み、そこから口を開けて喉の奥から舌が飛び出し様な発勁となる。… 続きを読む

護身

IMG_0085 ひ弱な女性や、年配者にとって、強力な筋肉と打撃力をつけて身を守ることなどナンセンスです。

 私の弟子の30代の女性たちを筆頭に、ほとんどが小柄でひ弱ですが、初心者でも強烈な護身能力を持っています。
 本来の太極拳は、寝たきりのおばあさんがとても重いタンスを火事場から持ち出したような、火事場のクソ力を、平常心で引き出す訓練をします。
意識的に鍛えた力は、潜在能力(無意識下の能力)の約10%程度しか発揮できません。
続きを読む

徹し(とおし)の発勁

太極拳の発勁で、相手の内部にまでダメージを与える打ち方があります。

鑚勁とも呼ばれ、この発勁の練習については、通常の打撃練習では習得できません。

徹しという技能を身につけます。王の楊式太極拳の套路には徹しの発勁で打つことができるような過渡式を備えています。

基本の勢はこの套路で修練できます。

発勁には、その目的に応じて、表面的な部分に痛みを与えたり、経絡を閉ざしたり、経穴を麻痺させたり、虚を創出するものなど色々とあります。擒拿術や投げ技である摔角の作用点も発勁になります。声だけの咆哮も、相手の動きを誘ったり、気で相手を動かす凌空勁ももちろん発勁です。つばを吐きかけることも発勁です。耳や髪の毛を引っ張ったり、衣服をつかんだり、罵詈雑言を発したり、騙したり、演じたりするのも全て発勁です。… 続きを読む

金鶏独立の勢

金鶏独立は85式では、独立式、24式では下勢独立として、套路で練習します。

金鶏独立の勢は上下方向に交差する十字勁を中心として、上手には中心勢を維持しながら、挑勢(下からの振り上げ)、裏勢を肩より上で働かせます。

これにより、金鶏独立は長勁として完成します。
下の手は採勢です。腰腿も十字勁によって,上手の方の足は上に、下手の方の足は下に沈みます。
以上は金鶏独立の鑚勁と長勁の用法です。

金鶏独立は、中心線をねじりながら、腰腿によって、上腿を下腿側にねじ上げて、下の腕をその上腿の膝の外側に採勢によってへばりつけます。… 続きを読む

海底針と双龍拉椀

海底針は太極拳における裏勢(りせい)=(体の内側を使って抱き込むような勢)を習得する重要な招式です。

双龍拉椀(そうりゅうらわん)は海底針の示意であり、相手の手首の内側を双龍の上あごで、外側を大小の拳頭を下あごでひしぎ噛んで上あごを裏勢にもとづき内側に引き込み、上あごを前側へ押し噛んでいく手法です。

この裏勢がないと、以上の拉勁は発勁とはならないのであり、重要な練習方法となります。

海底針の裏勢は多くの擒拿術に含まれますが、この双龍拉椀は最も基本的な示意なので、単法として相対で練習をします。… 続きを読む

太極拳の四隅手における板と棒

太極拳は円の動きで動くと一般では理解されています。確かに十三勢の四正手(しせいしゅ)は円と曲の勢です。

ところが四隅手(しぐうしゅ)は直と伸の勢であり、後は五行の方角で十三勢となっているのです。

四正手は太極拳を聞いたことがある人なら円の柔らかな動きということで理解はできるでしょうが、四隅手は理解しにくいものです。

四正手も四隅手も五行も、相対の武道練習において詳しく学びますが、四隅手の勢を実感できるのは特に拳脚の相対練習になります。… 続きを読む