体のさびと気順

 全身に気を巡らしていく。套路をするにも、対錬をするにも、この気順があってこそ太極拳です。

全身の細胞にエネルギーを行き渡らせ、新陳代謝し、酸素を消費し、又供給する。体に呼吸と気がみなぎる。

30代と言わず、20代から、いや子供の頃から、全身に気が巡り、酸素を健康に新陳代謝する能力を維持し続けることは、将来の健康な生活の保険のようなものです。

太極拳を修行するものの心得として、30年前の心身の状況が、現在の心身の状態の基盤を作っていると考え、30年後の未来を想定して、今を生きています。又逆に、30年前の状況が今我が心身の基底であることを認識して、今を生きています。… 続きを読む

直心是道場

「直心是道場」維摩居士という禅僧の言葉です。

エピソードは、修行者が城壁の中にある町の喧騒の中では修行ができないと、城門を出ようとしたところで、外から入ってくる維摩居士を見つけてどこから来たのか尋ねました。

すると「道場から来た」という返事です。静かな修行の場を探したいと考えていた、修行者は弾んで「道場はどこにあるのですか」と尋ねました。「修行をするという直な心があれば、どんな所でもそれで道場、修行の場だ」と答えました。… 続きを読む

違和感

違和感。
清々しい命(生命ではなく、刹那の命)、爽やかな性(先天的な人間としての性)、絶対的な理(何の相対的な条件も影響しない理)が丹、それ以外のものを違うと感じる、その違和感です。
美しい真珠を選定するときに、ひたすら美しい真珠を愛でてその命と性、その理を感じ尽くしてから、多くの真珠の中から違和感のあるものを感性で取り除いていく、そして残ったものが高潔な真珠として世に出て行く。

太極拳では、坐道(静坐)や存思(瞑想)でひたすらこの感受性を高めていきます。… 続きを読む

股関節を内外に円転する歩法

武当派の楊式太極拳の源流を遡ってみると、武当太極拳があります。

武当太極拳から楊式に変化していった当事の套路の歩法には、ほとんどが、武当太極拳にある擺歩(はいほ)という歩法が使用されています。雲手などは套路に何度も出てくるのですが、側行歩においては、右は地震脚と、左は擺歩による進歩の練習でした。

現代太極拳の套路では、見受けたことがありません。

もちろん王流では、古式をそのまま大架式として練習しています。小架式にしても側行歩は擺歩を含んでいます。… 続きを読む

ゆっくり動くことの理と利の一つ

ゴルフの宮里藍の太極拳スイング。
太極拳もこのように套路を練習します。よく見て頂きたいのが、途切れなく一定の速さで動いていることです。呼吸は胎息という呼吸を使うので、動きも乱れません。

いつも気が流れており、スムーズな動きは素晴らしいものです。
少し呼吸と気が途切れているところもありますが、さすがプロですね。

ゆっくり動くことの理と利の一つとして紹介させて頂きました。

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太極拳の武器術

武当派の楊式太極拳には多くの武器術があります。

ポピュラーなものは、太極剣、太極刀ですが、これは斬ることが目的の動きになっているので、武器があると素晴らしい武器術になります。しかし、徒手においても掌法を使用して十分使えるのです。この流れは、古式の武当太極拳では、しっかりと八卦掌という型を套路に盛り込み修練していました。今も伝承されています。もちろん王流の套路でもこの流れを失わず、掌法はしっかりと練習します。… 続きを読む

静かな戦闘術・楊式太極拳

楊式太極拳は水の力を使います。沾粘勁(てんねんけい)と言います。

私が王師に一番最初に教えてもらった技は、進歩攔掌(しんぽらんしょう)という技です。

套路にある進歩搬攔捶(しんぽはんらんすい)を練りに練った上で、教わった技です。
何の変哲も無い、相手が顔面を狙うなど手を出してきたら、その手をよけて相手の腹を掌で打つというだけなのです。

その技を私は2度ほど実際に使ったことがあります。言えるのは、相手がある組の組長の用心棒で、少年の時に人を殴り殺したことがある男のことです。相手はその筋ですから、とてもプライドを大事にしていますから、いくらその時逃れても、いつか必ずえらい目に遭わされます。それは、私が若い頃に本当に嫌と言うほど経験済みです。今でもその傷跡でもう取り返しがつきません。… 続きを読む

専修クラスは、以前武道クラスでもやった座道とか中心にやる感じですか ?

(当流の拳士からの専修クラスに対する質問に答えます。)

坐道(導引法)・站椿(立禅も含む)・運気法(内気功も含む)・太極整体(套路の型と、擒拿を含む)・点穴(活法・外気功)・内丹術・存思(瞑想と想念)と多様にやります。
坐道も中心というのでは無く、太極拳の根本修養のただ一つです。
武道クラスでやったのは内功ですね。あれも坐道の応用ですね。本来は武道クラスでやりませんが、ちょっとみなさんの健康状態をよりよくするために、少しやっておきました。擒拿や摔角をやっているだけで十分整体や内功になりますから。… 続きを読む

気力が湧かないままで、どうぞ。


自殺大国日本において、最近特に女性の自殺者が増えてきています。(2012年6月8日政府の自殺対策白書)そのもっとも多くを占める原因は健康問題で全体の過半数になっています。
これらは、これといった病気ではなく、何となく活力が低下し、疲れやすさすなわち易疲労があり、今まで楽しかったことに興味がなくなってきたり(アンヘドニア)、そして何か鬱々するというものです。

そして、なかなか元気になれないというところから、食欲がなくなったり、イライラしたり、風邪をひいたような症状や、腰や膝の痛みなどと発展していき、何らかの健康に問題があるのではと感じるのです。… 続きを読む