楊式太極拳の点穴術。行気の極意と、三尖と節の技術で始めて実戦で使えるようになる。

私たち人間はエネルギーを生成し、そのエネルギーの働き=気で生命活動を行っています。その気は通り道(経絡)から体中を巡り、その局所(経穴)で集結し、生命活動を活性化します。
楊式太極拳の源流である武当山の太極功は套路に於いて、この経絡と経穴の活性化を図る行気を含んでいます。まずは坐道において気を巡らせる環流法という特別な座り方にて、行気の基本を毎日涵養します。
そして無為自然に立つとその気は、身体を天と地につなぐように気が巡ります。この気の巡りが、小周天・大周天を連結すると、大架式という套路が始まります。… 続きを読む

鬆掌という柔らかい掌の不思議な勁


 先週の木曜日の夜間クラスでは、意外と知られていない、鬆掌(鬆いだ掌)の不思議な勁について説明しました。
 放鬆に基づく、鬆腰や鬆跨は結構知られていますが、鬆掌、鬆頸、鬆肩などまだまだ多くあり、套路を続けているとこれらが全て思い出され、怪我防止や健康効果には抜群です。
 鬆掌は、特に抱掌などでわかりやすく稽古できます。
 この鬆掌で身体を触られると、まるで粘りつくような勁によって制覇されます。沾粘勁であり、套路にて、この鬆掌は全てに備わります。… 続きを読む

太極拳は波乗りである。中国人の王師から聞いた太極拳の極意に驚き。

 特に昨日は進歩搬攔捶から、上歩攬雀尾への過渡式を重点的に行いました。
 進歩搬攔捶から、上歩攬雀尾の過渡式を確認するには、進歩搬攔捶の定式状態で、左肩を右方向に強く押してもらいます。
 そうすると、ここは最も脆弱なところであり、右方向に崩れます。前に行こうが、後ろに逃げようが、より崩されることとなり、またその力に対抗するのは力比べですが、明らかにこの体勢では負けます。
 ところが、太極拳論のとおり、直には曲の原理で、相手の直の力に対して绕勢(輪のようにぐるぐる回る,巡る勢い)が生まれます。… 続きを読む

楊式太極拳の実戦用法。大切な女性に教えておきたい。前から掴みに来たら、まるで空気のように後方に投げ飛ばす不思議な投げ技。

15年ほど前、拳法家の集まりの芋掘りイベントに、多くの中髙生が参加していました。
私と妻も参加し、その拳法を習っている中高生達と戯れていました。
妻が、「まーちゃん(私の妻からの呼び名)をみんなで倒して」と笑いながら声を掛けると、10人ぐらいの中髙生が束になって一斉にかかってきました。
全員が風に吹き飛ばされるように、畑に敷かれたワラの絨毯の上に、私にことごとくふわりと投げ飛ばされ、見ていた拳法家の人々も驚いていました。… 続きを読む

楊式85式太極拳は勢によって掌が変化する八卦掌の美しさが特徴・転天尊


武当山伝承の楊式85式太極拳の套路には、八卦掌が全てに含まれています。
張三丰の伝承者、張逍遙(1595〜1661)も歴史に現れ、拳法の達人でありながら仙人として山に入り、草を摘み薬草を作り内丹や導引を行って、多くの武術家を指導しました。
張逍遙は、太極功の太極八卦反手勾と盆龍棍(短棍)を統合した太極扇を得意とし、優雅に「拳を造る」として多くの者に勧めました。… 続きを読む

楊式太極拳の極意・胸に玉を抱いて全てと連なる・抱球勢

楊式85式太極拳の套路には、攬雀尾や野馬分鬃その他多くの型の前過渡式に、抱掌があります。

抱掌は、多くは抱球勢、中には玉女穿梭の時のような抱玉勢、時には、攬雀尾掤勢の時のような掤勢の時などにも抱掌があります。

今回は、この抱掌の内、抱球勢によって相手と連なり、まるで玉を転がすような奥義を稽古しました。

これも連のテーマの一環であり、この稽古風景を公開しましたので、前回に引き続きご覧下さい。

人間は、四つ足動物であり、この抱球勢は母親のお腹の中にるときから保有している、大変大切な勢いです。… 続きを読む

太極拳の護身術・腕と身体を掴まれたら懒熊靠樹

大阪で、20代後半に、王師と共にクラブの女性に護身術の手ほどきをしたことが有ります。
このように、腕と身体をつかまれたらその勢いに乗って、相手に全重心をぶつけるのが懒熊靠樹。

このイラストでは、豪傑が右手で老人の腰を引き込み、左手で老人の左手を握り寄せています。

この豪傑の力にそのまま、勢いとして随して、連なったところから、一挙にその溜まった力の重さと共に、豪傑にこれからぶち当たる寸前です。

ぶち当たったら、豪傑はぶっ飛ぶので、そのまま逃げることが出来ます。… 続きを読む

毎日実戦で使っていた太極拳・私の病気を治した太極拳・医武同源

18才ごろから働いていた、大阪ミナミ(現中央区)の宗右衛門町ダイヤモンドビル6階のサパークラブ「クレージーホース」。
500席以上あり、フィリピン人の生バンドが演奏し、ホールでダンスを踊るスタイルの店で、客は裏の人と芸能人が4分の3で、私は、20才の頃にはその店の幹部になり、毎日数回起こるプロどおしのケンカを止める立場にいました。
ここが本店でしたが、梅田には梅田店(席数800ほど)があり、そこはキル・ビルという映画のモデルとなりました。その他にも北新地や京都にもカルチェラタンという店舗があり、ディスクブームで賑わっており、どの店も土曜日は2時間でcheckout、いわゆる出て行ってもらう形式を取っていました。… 続きを読む

武当山伝統の太極拳の武道稽古・初めて一部を公開します。

中国の武当山。古代からの太極拳(太極功)の稽古の風景は、私が王師から稽古を受けていたのと同じだそうで、今もその伝統のまま稽古しています。
毎日の套路は、勢の涵養で最も重要です。

勢が無限に広がり収縮する大架式で行います。

そして、その勢を以て人間どおしが重なり合う条件によって、そこに勁が発生します。
これが発勁です。

相手の条件がこちらに向かってきたり、去って行ったりする動きに、自然とこちらの勢いが随います。これが随です。套路にて自分の身体が破綻に向かっていくときに起こる勢です。いわゆるバランスが崩れていくときの勢いです。… 続きを読む

85式套路・斜単鞭・斜の理由は、仙人歩へ繋がる発勁


 木曜日の夜間クラス。予定は67進歩搬攔捶から68上歩攬雀尾の予定でしたが、どこからか、48斜単鞭の話題になり、48斜単鞭から49野馬分鬃となりました。
 なぜ「斜」なのかという事です。
 単鞭の勢は単捶勢であり、鞭のような勢から単捶勢を持つことから鞭勢とも呼ばれます。
 ぬれタオルでバチンとやる、あれです。過去に「やってみてくれ」という私の古い弟子の要望に応え、実際にやってみると、筋肉隆々の弟子のの身体に、10cm大の円形の水腫れが出来、その上、痛さのあまりうずくまったほどです。顔面などに打つと危険です。… 続きを読む