太極拳は波乗りである。中国人の王師から聞いた太極拳の極意に驚き。

 特に昨日は進歩搬攔捶から、上歩攬雀尾への過渡式を重点的に行いました。
 進歩搬攔捶から、上歩攬雀尾の過渡式を確認するには、進歩搬攔捶の定式状態で、左肩を右方向に強く押してもらいます。
 そうすると、ここは最も脆弱なところであり、右方向に崩れます。前に行こうが、後ろに逃げようが、より崩されることとなり、またその力に対抗するのは力比べですが、明らかにこの体勢では負けます。
 ところが、太極拳論のとおり、直には曲の原理で、相手の直の力に対して绕勢(輪のようにぐるぐる回る,巡る勢い)が生まれます。
 绕勢は進歩搬攔捶の定式から平円の軌道を描き右から左後方の円の1/4そして、立円に変化しながら左上前方の1/4で定となり、左上から前下方に1/4を描き、後ろ下方に1/4で抱掌となります。
 このように起こる绕勢は人間の自然で本能的な身を守る勢いです。(乱治)
 波が起こるのです。この波に乗る事を「早服」と言います。
ここで、クラスの人たちには、太極拳はサーフィンであるという例えを持ち出しました。
 これは1905年生まれの中国武当山の師範であった王師から出た言葉で、私も当時は驚きました。
 中国には古代から「弄潮児(ろうちょうじ)」と呼ばれる波乗りの文化が存在していたそうで、「弄潮児」は、約1200年前の宋代(960〜1279年)に最盛期を迎えたとされる波乗りの達人たちです。彼らは杭州を流れる銭塘江(せんとうこう)で発生する巨大な逆流波「潮津波(ちょうしんぱ)」、別名「シルバー・ドラゴン」に乗って技を披露し、皇帝を喜ばせていたそうです。
 私は18才ごろ大阪では「ヤンファー」(ヤンキーでありながらサーファー)でしたので、そこそこ当事は波に乗れました。
 王師からその話が出たときに、私がサーフィンをそこそこできることを話すと、一度経験したいというので、よく行く和歌山の磯ノ浦や白浜に連れて行き、何度か一緒にサーフィンを行いました。
 その時に王師から出た言葉が「太極拳はサーフィンである」という言葉で、その論理をしつこく聞かされました。
 太極拳は得意な武道です。自らの身体が生み出す身を守る強烈な勢い(乱治)その大きな波は、相手の力や意図によって自分の身に起こります。
 まずその波に随うのが「随」です。サーフィンではパドリングの開始です。この波を感じ取ることを「早服の術」といいます。
 そして、ボードの上に立ち、波と一体になります。これが「連」です。
 この波と一体になり波と共に進み始めることを「攀斗の術」と言います。波の向かう方向に自分もまるで、漏斗に水が流れるように進むからです。
 そして安定して波に乗り進みます。これが粘です。安定した波乗りのとても気持ちのいい状態の時です。
 そして波が消えていき、気持ちいい状態のまま、ボードは岸に着き達成感を得ます。
 波に乗って岸にまで到達した結果が「化」です。
 武道であれば、相手を投げたり、制したり、拳撃で倒したという事です。
 この粘と化は一体であり、これをこれは「蔵天の術」といいます。
 この気持ちよさがサーフィンでも魅力です。
 太極拳の武道クラスで行う対錬(招式)でもこれがとても気持ちが良く快感です。だから笑ってしまうのです。
 まさしく太極拳もサーフィンも随連粘化。
 太極拳は、ことごとく通常の武術とは全く違う拳理なのです。
#太極拳 #気功 #用法 #技撃 #実戦 #健康 #武術 #武道 #護身 #整体 #腰痛