太極拳から見た肉体の動き

人間の社会生活において、肉体のうちあまり使われていない部分は、スポーツなどの素晴らしい技の中で脚光を浴びています。
スケートのキム・ヨナさんの美しいジャンプなどに使用されるインナーマッスルもそうです。
このように、太極拳は普段使用されていない肉体の動きを、本来持っている能力として思い出して緩やかに育てていこうとする武道なのです。
インナーマッスルなども、リラックスして見つめていくと、しっかりと動き、高度な運動そしてバランスを司る機能として素晴らしいものであることが身をもって経験できます。
普通に歩くときには足の付け根の大転子周辺に力点を置いた歩き方が多いようですが、太極拳の運歩の場合は、胸椎と腰椎の接点あたりに中心があります。そこを中心にした運歩は、その周辺の躯幹深部筋である内転筋や腸腰筋などのインナーマッスルを育て、横隔膜周辺の呼吸筋にも近く、内臓も活性化します。
歩けば歩くほど健康になるためには、躯幹深部筋と呼吸筋を利用した歩き方が大事です。
ところがこの歩き方は、呼吸と共に胸椎や腰椎にかかわる経絡にそった勢の流れや筋の動きなどに一致していないと、そう簡単にできるものではありませんし、無理が出ます。
しかし、生まれたときの赤ちゃんの身体のうねりや、歩き始めたときの歩きのスィング、そしてキム・ヨナさんのジャンプもその動きです。
太極拳でも、中心の胸椎と腰椎の接点あたりから、骨盤そして足、肩、腕そして手、背骨から首そして頭と動きがスムーズになめらかに伝導されて攻防を行ったり、動いたりするのです。
太極拳は三節(出発点・経過点・到達点)(因・縁・果)を理論として持ち、胴体から接続部そして末端と又逆からの勢をしっかりととらえて動きます。
これは、経験すると当たり前のことですが、その動きがどこかで途切れたり、消え失せたり、又滞ったり、又飛び越してしまったりするのが、普通の場合の動きです。
中心からの動きが末端まで伝承される為には、スムーズな通り道を幾度も経験し、その通り道をさわやかになめらかにスムーズにすることが大事です。
それが太極拳であり、套路でそれをシミュレーションしながら経験し、対錬では相手の動きがあっても自らのその動きが失われない経験をたくさんするのです。
道を歩くときも、会社で仕事をするときも、いつも、空気以外の多くの相対物があります。相対物と対応しながら、歩いているといってもいいのです。歩くだけではなく、色々な場面で自らの根幹から動く身体の動きを思い出してそれを活用していると、驚くような健康的な効果が現れ、又怪我も少なく、そして気持ちもおおらかに、さわやかに元気いっぱいに過ごせるはずです。
歩くときも、パソコンを打っているときも、食事の時もまるで音楽にのって滑っているように、穏やかにそして躍動的に、動きが静かになって穏やかに眠り、又、活動期は軽やかにジャンプするように動くことが出来ることをを目指して、太極拳で本来人間が備えるさわやかなインナーマッスルの働きを思い出してみるのもいいと思います。

One Reply to “太極拳から見た肉体の動き”

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください