天枢穴「点穴術・拿穴術」

天枢穴 天枢穴は先天の精と後天の精をつなぐ架け橋の要である。先天の精は人間が生まれながらにして持つ、生命体としての生理機能であり、後天の精は生まれてから身につけた心身の性質である。先天の精の要である自律神経は、後天的な人間の性質によって大きく左右される。この天枢穴を点穴すると、自律神経の要所であり、第二の脳と言われる太陽神経叢に対し陰の刺激を与えることになる。副交感神経系の暴走が起こり、血圧の急激な低下とともに、胃や肝臓・すい臓、腎臓などの重要な臓器が機能低下する。持ちろん大腸も機能低下するが、それよりも自律神経のバランスが一挙に狂う。
活法として拿穴すると、興奮していたり、よく眠れなかったり、いつもイライラして、心拍数が多く、高血圧気味で便秘、いわゆる交感神経系が過剰な疾患の改善に役立つ。様々な有益なリラックスホルモンを生み出す。お腹をさすると落ち着くのはこのためである。拿穴は背中にある大腸兪穴であり、逆にやる気が出ない元気が無い、うつ気味、げり気味などの場合に掌打又は拿穴にて改善する。
この経穴への点穴の狙いは戦意を喪失させることにあるが、軽く点穴した場合でも、意識がもうろうとし吐いたりするなどの急性的な症状が出る。上丹田である泥丸の中には視床下部があり、ここと連携して自律神経を管理しているため、天枢穴を打つと、生命の危機に似た不安感が急激に襲う。即ち、これで戦意を喪失する。自律神経は生命を維持する重要な臓器の働きを左右するからだ。大腸兪穴は逆にアドレナリンなどのホルモンが出るような緊張度を生み出す場所であり、凶暴性を増し、緊張度を高めるため逆に生命の危機に値するような恐怖感が現れる。太極拳ではこの場所を点穴することで、相手の動きを緊張させ、心拍数を増幅させ、焦らせたり、近視眼的に短絡的にして、相手の虚を作り出し、相手を制御する技法もある。背面の攻撃においては、他の兪穴も同じようにして使用する。
活法では天枢穴を拿穴して精神的に自信を生み出す技術がある、この場合は、自分にでも行う事ができる。又逆に、大腸兪穴に対して拿穴を行うと、精神的に自我が高まるようなやる気が出てくる。この双方の募穴と兪穴のバランスが整っていると、精神は健全である。太極拳の坐法で導引を行う。
最後に、太陽神経叢の中心に向かって正確に強烈な点穴を行うと、神経原性ショックにより迷走神経が反射して、急激な血圧低下により死亡する場合がある。危険な場所である。この点穴術も打ち方があるが、その危険性を知らずに、たまたま角度と深さが一致すると危険であるから、腹部には必ず二重構造の防具を纏って踢脚などの攻防を行うべきである。この場所を打つ又は蹴ることは、当て身として有効であるが、場所をずれると大動脈、すい臓や肝臓などの重要な臓器があり、損傷させると取り返しの付かない事態となる。

■点穴術と拿穴術の招式(運用法)

※門下の自宅稽古のために、練習済みの運用法をおいおい掲載するようにしています。

コメントを残す