太極拳を美しく始める──「導引」から「套路」へ、伝統の学び方

太極拳は、動きそのものはゆっくりしているにもかかわらず、いざ覚えようとすると意外に時間がかかるものです。特に套路(とうろ)と呼ばれる「型の連続動作」は、一見すると複雑で、動きも多く、初心者の方にはなかなかハードルが高く感じられるかもしれません。

ですが、実は中国に古くから伝わる、とても効果的で自然な「学び方」があるのをご存じでしょうか?

まずは気持ちのよい「導引」から始めましょう

 

太極拳の套路をいきなり丸ごと覚えるのではなく、まずはゆったりとした「導引(どういん)」や簡単な気功動作から入るのが伝統的な方法です。

導引とは、身体の内外の気の流れを調え、筋や関節をゆるやかに開いていく呼吸と動作を組み合わせた体操のようなもの。1日に3つほどの非常にシンプルな型を、朝の公園や庭などで、静かに、丁寧に行うだけで十分です。

重要なのは、「動きを覚える」よりも、「気持ちよくなめらかに動く」こと。この段階で、呼吸と動作が自然に結びついてくると、体が整い、心が落ち着き、太極拳特有の「柔らかく強い動き」が自ずと身につきます。

伝統の「雕架式(ちょうかしき)」で套路が一気に体に入る

 

この導引をしばらく続けて、動作の滑らかさと心身の整いを感じられるようになったら、次に「雕架式(ちょうかしき)」という伝統的な学習方法で套路を学びます。

雕架式とは、動作をひとつひとつ彫刻のように、形をしっかりと作り込む学び方です。導引で身体の中心やバランス感覚が整っていると、この雕架式による套路の習得が驚くほどスムーズに進みます。

なんと、複雑だと思っていた套路も、わずか数時間で全体の流れが理解できることもあるのです。

もっとも親しまれている「楊式簡化24式」で実践できる

 

このような伝統的な学び方は、現在もっとも広く親しまれている「楊式簡化24式太極拳」で実践できます。

「簡化24式」は、中国国家体育委員会によって制定された、初心者にも学びやすく、しかも奥深い套路です。24の動作から成り、わずか5〜6分で演じ切ることができますが、その中には太極拳の精髄が凝縮されています。

書籍のご案内:「世界一美しい24式太極拳」

 

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これらの方法を実践的かつ視覚的に学べるテキストとして、私の著書『世界一美しい24式太極拳』をAmazonで販売しています。

この本では、雕架式から始まり、本格的な大架式の套路、美しい無根式まで、写真と共に丁寧に解説しています。

太極拳は、単なる運動ではなく、呼吸・意(心の働き)・身体が調和する総合的な「生き方の技術」でもあります。ぜひこのテキストを通じて、太極拳の美しさと奥深さを体験してみてください。

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