静かな戦闘術・楊式太極拳

楊式太極拳は水の力を使います。沾粘勁(てんねんけい)と言います。

私が王師に一番最初に教えてもらった技は、進歩攔掌(しんぽらんしょう)という技です。

套路にある進歩搬攔捶(しんぽはんらんすい)を練りに練った上で、教わった技です。
何の変哲も無い、相手が顔面を狙うなど手を出してきたら、その手をよけて相手の腹を掌で打つというだけなのです。

その技を私は2度ほど実際に使ったことがあります。言えるのは、相手がある組の組長の用心棒で、少年の時に人を殴り殺したことがある男のことです。相手はその筋ですから、とてもプライドを大事にしていますから、いくらその時逃れても、いつか必ずえらい目に遭わされます。それは、私が若い頃に本当に嫌と言うほど経験済みです。今でもその傷跡でもう取り返しがつきません。… 続きを読む

気力が湧かないままで、どうぞ。


自殺大国日本において、最近特に女性の自殺者が増えてきています。(2012年6月8日政府の自殺対策白書)そのもっとも多くを占める原因は健康問題で全体の過半数になっています。
これらは、これといった病気ではなく、何となく活力が低下し、疲れやすさすなわち易疲労があり、今まで楽しかったことに興味がなくなってきたり(アンヘドニア)、そして何か鬱々するというものです。

そして、なかなか元気になれないというところから、食欲がなくなったり、イライラしたり、風邪をひいたような症状や、腰や膝の痛みなどと発展していき、何らかの健康に問題があるのではと感じるのです。… 続きを読む

4次元の太極拳

 太極拳は十三勢と呼ばれます。

十三の勢には、まず四正手があります。

四正手は、右攬雀尾では、掤は進行方向に向かって右前上から扌履は左後下、擠は前、按は後下から前と、右交差の3次元を描き、左の攬雀尾で左交差の3次元を描き、幅、奥行き高さである空間を全て網羅します。身の幅、眼の奥行き、手の高さの三尖で空間を描くということです。

そして四隅手ですが、野馬分鬃では、靠肘挒で因縁果の三節になり、現在から未来への時間軸を構成しています。後ろ手の採はその現在を身の中心線とすれば、三節に伴う過去の時間を表しています。靠肘挒の勢は採勢が力点となっているのです。そして中心線が支点、そして靠肘挒が作用点です。靠肘挒と進む長勁は後ろ手の採勢が力点となり、身体の中心線が重要な支点として発勁されます。… 続きを読む

護身の極限

護身には「起きないようにどうするか」「起きてしまったらどうするか」の二つのアプローチがあります。
太極拳と柳生新陰流においては、生死の境の心境をどちらの場合でも心意に備えておくことが必要です。
これが、生の尊さからくる死に対する極限の護身なのです。 そして、これが、セルフエスティームです。

宮本武蔵が、どこまでも生き残ったのは、死の恐ろしさと対比する生と、またその生の中で生きる自分の尊さがあるからこそ、生死の境で使える護身の剣を生み出しています。… 続きを読む

護身とゾーン

地下鉄で体がぶつかったと言うことで、気づかないところから急に刺される。
こんなことは防ぎようが無い。確かにそのように言えるかも知れません。
しかし、楊式太極拳や柳生心陰流ではこの様なときの護身が最も大切な武道の入り口と教えるのです。

実際に私は何度もこれで命が助かっています。(ナイフでどさくさの中で攻撃されることは数え上げればきりが無いほどです。20歳前後の私の環境では日常茶飯事でした。とても多くのやばい人に恨まれていました(逆恨みです)ので、路上でも数回あります。その中で察知はできていたけど、逃げ場が閉ざされて実際に刺されてしまったのは2回、その2回は仕方なく足で腹を防御し、足を刺させ、相手を制しました。これも察知できていたおかげです。)… 続きを読む

護身の基本の基本

武器を持とうが、拳銃を持とうが、いくら筋肉をつけようが、巧みな術も精神力もつけようが護身なんてものは簡単にできません。

まず護身の基本の基本は心理にあります。

欧米ではそれが当たり前であり、そのためのプログラムが豊富です。

まず、セルフエスティームを高める、すなわち自らを知り尽くしその尊い自分を思い出すことです。
ですから護身術は生まれたときから、始まっているのです。大人になってからもそれを高める方法もあります。まず、これがとても大切です。これを高めるというのは最も大切な護身術の基盤です。… 続きを読む

純粋を持続させる

純粋、何一つ囚われも曇りもない、当たり前であるがままの状態。

純粋(神=しんの性質)を持続させる。 例えば、太極拳の套路をゆっくりと長く続ければ、それはいづれはわかります。

日常生活で純粋を持続させてみれば、とても面白い現象が起こります。

もしそれが出来れば、一瞬にして周辺の世界も変貌します。

見るものも感じるものも包括した融合した感覚を得るはずです。

面白いように、思った通りに現象が起こります。

しかし、ここがみそです。面白いところです。… 続きを読む

あるがままに

本当は最も簡単なはずなのに、難しいものです。

本当は最も楽しいことなのに、不安で苦しい。

しかし、本当は最も簡単で、楽しいことであることを。見つけ出すことが出来ればこの世を「あるがままに」生きることが出来る。

人間があるがままに生きることが出来れば、ほとんどの他のものはあるがまま生きているので、とても素晴らしいあるがままの世界が必ず戻ってくる。

太極拳を真に修練するものは、そのようなビジョンを心の中に描いている人が多い。… 続きを読む

十三勢行功心解

 

以心行氣,務令沉著,乃能收斂入骨。

「心にて気を運行し(心意)、落ち着いているならば、気は収斂して骨髄までに到達する。」

以氣運身,務令順遂,乃能便利從心。

「そして、気にて身を運行し、気に(自然に)従うならば、身は心のままに動くということになる。」

精神能提得起,則無遲重之虞,所謂頂頭懸也。
「このように精(心のままの身体)と神(純粋な心)が起こることを得ることができれば、恐れおののき動きが遅れたり重くなることもなくなるのであり、これが、いわゆる頭頂に気を懸かげるということである。(虚霊頂勁の理合=姿勢の要求ではなく、心と気を一致させている虚無心や不動心のこと。)」続きを読む