太極拳から見た肉体の動き

人間の社会生活において、肉体のうちあまり使われていない部分は、スポーツなどの素晴らしい技の中で脚光を浴びています。
スケートのキム・ヨナさんの美しいジャンプなどに使用されるインナーマッスルもそうです。
このように、太極拳は普段使用されていない肉体の動きを、本来持っている能力として思い出して緩やかに育てていこうとする武道なのです。
インナーマッスルなども、リラックスして見つめていくと、しっかりと動き、高度な運動そしてバランスを司る機能として素晴らしいものであることが身をもって経験できます。… 続きを読む

素に戻っていく太極拳

太極拳の面白いところは、道を歩むように一歩一歩踏みしめて根本的なところに戻っていくところにあります。素に戻っていくという表現が適当かもしれません。

套路などの基本練習は、例えば、生きていくことに置き換えると、人間として動くための自然な動きの練習です。

人間は動くのに、いちいち練習しなくても動けるようになります。

これは当たり前です。

太極拳も実は、自分の身を当たり前に守るための、人間の根本を思い出すためのものなのです。… 続きを読む

太極拳は努力しない。

山で遊び出す子ども達はとても元気です。山の中を走り回っている内に、色々なことを忘れて、ただ無邪気に遊び回っています。

そんな子ども達の、足下や手の動き、身体の動きを細かく観察していると、驚くような巧みな高度な動きで、山を駆け上り、飛び降り、ぶつかり合っています。

これは何でしょうか?努力のたまものでしょうか?

実は、これが太極拳が求めているところなのです。

確かに努力も大切でしょうが、努力したことを積み重ね、その成熟したものに頼り切ることが果たして全てでしょうか?… 続きを読む

囚人から人に戻る太極拳

囚われを見つけ出すのが太極拳の套路です。

囚われという字は人を囲みの中に閉じ込めている字です。

囚人の囚です。

物理的に檻に閉じ込められていいるのではなく、色々な条件に囲まれている状態です。

例えば、功名富貴(こうめいふき)という四本の線を取りはからえることが出来れば、並外れた人間になることが出来、そしてもっとレベルの高い話では、道徳と仁義という四本の線を重視する心を解き放すことが出来れば、聖人の仲間入りが出来ると、あの論語と並んで広く読まれている菜根譚(さいこんたん)の… 続きを読む

太極拳は、不老長寿に役立つ医武同源

太極拳は、不老長寿に役立つと一般的に考えられています。

健康にいいというだけの理由ではなく、太極拳の運動のしくみが,人間の根幹部分の生理を使うところから、現実的に若返り,病気から遠ざかり元気になり、又事故や怪我を未然に防げる危険を察知して防衛する本能的な能力をより思い出して練るところにあります。

例えば、心と健康の関係にしても、副交感神経を優位にして,穏やかなストレスに強い心身を育て、放松というとらわれのない根幹的な人間の心の太極拳の意で、そのまま精神や身体が動くように、繰り返し毎日運動します。… 続きを読む

太極拳は基本のみを反復練習する

太極拳とは基本の基本の勢という勢いを反復練習する武道です。

勢はもともと人間が備えている先天の理であり、人間であれば全ての人が備えているものです。そして人間は動物であり、生き物であり、森羅万象の一部であると深めていくことで、もっと基本的な勢を知るのですが、それが太極であるということで太極拳なのです。

太極は陰と陽が混沌としており、分かれ目がない状態のことです。

そのような万物が持つ性質を思い出して活かしていこうとする武道です。… 続きを読む

太極拳は筋と骨を使う

太極拳は神気精の一致で発勁となります。

精とは人間が人間として持っているものです。肉体と精神の全てです。

それは、老若男女であっても、持ってる物はなにも変わりません。

精とはその人間の基本的構造、例えば、筋繊維の数や細胞の性質、骨の数やその性質、脳の造りやその性質,その他の生理的性質など全てのことです。

この基本的構造はたとえ赤ん坊であっても、老人であっても、男性であっても女性であっても変わりません。

厳密に言えば、多少の差があったり、病気やけがでの差異はありますが、根本的なところでは … 続きを読む

武道としての太極拳の変化

現在の中国における武術も、日本での武術もそうですが、武道を習う人に対して、武道が本来の武術と同じような要求を続けていくとしたら、武術を学びたいという人は減少せざるを得ないと言うことはどの武道家も知っています。
そこで、ずいぶん昔から、武道である太極拳はその武術自体を大きく変化してきました。
その理由は、本物の武術を追求するには長い時間の毎日の練習と、良い師が必要になるわけですが、現代人は余りにも忙しいうえに、身近なところに良い師がいるということは難しく、武術を残していくという手段としては、武術自体を変化させるのが良いと考えたのです。すなわちパッケージ化です。パッケージ化とは套路の型のように一つの型を定型化することです。
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火事場のくそ力を思い出して備える。

現代人は、無意識で生まれる力(勁)、例えば、親が子を助けるときに出るような、又は火事場のくそ力のような力、それが普段から自然と備わっていません。
都会に住む人はさらにさらにその力が備わっていません。

農家や山で仕事をする人,酪農などをする人は、都会人と比べると無意識の力を絶えず使っています。都会に住む人とそのような人とは、力の出し方の違いが顕著に表れます。都会にすむ成人男性のほうが力がない,農家で働く女性よりも力がないときもあります。… 続きを読む

WHO (世界保健機関)は太極拳の医学的な効用に注目

WHO (世界保健機関)は太極拳の医学的な効用に注目しているのは、太極拳をされている方は皆さんご存じです。

それは、WHO(世界保健機関)のジュネーブ本部が出版した、伝統医学を紹介する世界伝統医学大全[Traditional Medicine and Health care Corverage]という本で、太極拳を伝統医学の一つとして紹介しているからです。又、最近では、心臓強化運動の一つとして取り上げており、太極拳が心臓と肺機能に対して有益であるということを正式に公表もしています。太極拳でも20分以上続けることの出来る長い套路が有効とされているので、一般の24式では少し短いかもしれません。(古式でやるとゆっくりやるので、大丈夫です)… 続きを読む